産みの母との面会 4

前回から再びひと月以上空き、産みの母と娘の面会は10月13日に行われた。
今回、産みの母は初めて養子縁組の事を知る人の居ない、公の場であるカフェを面会場所に選んだ。


交通事故の怪我もすっかり癒え再び肉体労働の仕事に復帰した産みの母は、かなり疲れた様子であったけれど、精神的には非常に落ち着いていて、久しぶりの娘との再会をとても喜んでくれた。
いつも通りに着いてすぐに娘を抱く。娘を見る度に産みの母にそっくりだと思って来たけれど、この3ヶ月で大分顔つきが変わって来たせいか、似ているけれど違うなと初めて思った。
しかし顔のパーツが似ているため、傍からは明らかに血の繋がった親子に見えるだろう。

39週間お腹に居た時間にはまだ叶わないけれど、産まれてから過ごして来た時間は私たちの方が長いし、赤ちゃんの扱いにも慣れて来ているため、これまでの面会とは違い、産みの母と一緒に居ても私たちがこの子の両親なのだという自覚というか、自信のようなものを感じた。この子の親として、私たちも日々少しずつ慣れ、愛情と信頼を育んで来たので、娘との絆が以前よりも強くなっているからかもしれない。


これまでよりも若干短く、1時間程で産みの母は娘を夫に抱き渡した。
面会はおよそ1時間半程で終了、彼女を家に送って行く道中、今の仕事のこと、過去の生活を断ち切るために引越しを考えていること、行こうと思っている学校のことなどを話してくれた。
自分の人生の新たなスタートに向かって頑張っている様子に、今度こそ、彼女の夢が叶うようにと祈らずにはいられない。


ドラッグを再利用したり、再びストリート生活に戻った場合、産みの母はもう娘に会う事は出来ない。少なくとも娘が18歳になるまでは。彼女もそれは十分承知している。
娘のおかげで自分はクリーンになれた、という産みの母。
娘のおかげで、私たち夫婦もこれまでに無い希望に満ちた、より幸せな人生を歩み始めている。
産まれてたった3ヶ月の小さな命だけれど、この子はもう3人の人生に“幸運”を与えてくれているのだ。


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