とても長い緊張の終わり

私たちの願いは、神様に届いたのかもしれない。

私は特に信仰は無いけれど、とにかくどこかにいる“神様”に向かって祈り続けた33時間。期限失効最後の1秒まで、緊張し続けた、拷問に近い時間が過ぎる。

昨日午前0時を過ぎても、電話はならなかった。


翌朝は、その前の日とは全く異なる気分だった。
朝一でエイジェンシーのソーシャルワーカーから電話が入る。
9時にオフィスに来たけれど、産みの母からの公式な養子縁組取り消し申込はなかった、おめでとう。赤ちゃんは正式にあなた達の子よ、と言われ、もう一度同じ事を確認してしまう私。
「赤ちゃんは、私たちと一緒に居られるのですね?」

余りにも緊張した時間が長かったせいか、なんだか、信じられなくて、午後、エイジェンシーのオフィスで面と向かって『おめでとう』と言ってもらえるまで、まだ何か予想しない事が起こるのではないか、と思えて仕方が無かった。


エイジェンシーには産みの母も来ていた。
オフィスに入ってすぐに聞こえて来た、産みの母の怒鳴声。私たちに対しても怒りの矛先が向かっているのか、と緊張していると、別のソーシャルワーカーが心配しないようにと優しく声をかけてくれた。養父母と赤ちゃんが、この騒動に巻き込まれない様に間に立つのも彼らの仕事なのだった。

産みの母が落ち着くまでは面会はさせない、とのことで、彼女が落ち着くのを待ってから、再び赤ちゃんと二人だけの時間を作ってあげる。幸いにも産みの母は私たちに対しては、怒ってはいないようだった。私たちに対する態度とソーシャルワーカーに対する態度ははっきりと違っていて、2人の信頼関係が壊れてしまったのは明らかだった。


その後、今後6ヶ月間に渡る面会の契約書なるものに署名。これは法的なものではないが、産みの母の精神状態が、当初予想していた以上に打撃を受けてしまっているため、彼女のためにも面会数を年間4回から、始めの1ヶ月間は毎週、その後2週間おき、という具合に、6ヶ月間の面会回数をある程度多めに決めてお互いに了解し署名しておくことで、後のトラブルを防ぐ、ということらしい。
毎週の面会は多いと思うが、彼女の気持ちを考えると仕方が無い。

産みの母の心変わりは、やはり同居しているボーイフレンドの影響だったが、暴力的な彼のおかげで赤ちゃんは産みの母にすんなりと返せないことになったわけで、我々としては妙な気持ちではある。彼がすっぱり別れていたら、産みの母も悲しみつつ心変わりしなかったかもしれないし、別れていてもし同じ様に心変わりしていていたら、私たちは娘を失っていたかもしれないのだ。
ほんの少しのことが、運命を変えてしまう。


ついに長い緊張の終わり。長い旅の終わりと、新たな旅の始まり。
昨日、私たちは正式に両親になった。


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