初めての子育て

早いもので、今日で“娘”が産まれて11日、我が家に来てから9日目。
病院で初めて会った時から比べ、顔の雰囲気も大分変わって来たし、食欲も旺盛で随分と大きくなったと感じる。

この9日間、義理姉のアドバイスと本を頼りに、初めての子育てを夫と二人で手探りでやって来た。分からなくて間違ったこともしてしまったし、オムツ替えも何度も失敗(替えた瞬間にまだ出たりで一度に4つのオムツを消費してしまったり)。今もまだ上手く行かない時もあるし、分からないことだらけだけれど、私たちも少しずつ学んでいる。


生後3日目で我が家に来た時には、おくるみでトルティーヤのようにしっかりと巻いてあげないと泣いていたのに、2、3日で手足を大分動かす様になり、おくるみはあっという間に卒業。

最初は上に組んでいた足も、最近はしっかりと両側に広げて両手を上に上げた典型的赤ちゃんポーズで寝ている。蹴り足、掴み手ともにとても強くなった。

ミルクはほぼ正確に3時間おきにねだる。夜はシフトを作って夫と私で交代で授乳。問題は授乳後のゲップ。出るまで時間がかかるし、空気を相当飲み込んでいるのか、授乳後毎回とても苦しんでいる。乳首を4種類変えて試してみたけれど、どれもあまり変わらない結果。もう少し大きくなったら、ゲップも上手く出来る様になるのだろうか。

粉ミルクだけで育つこの子は、本物の乳首の感触も母乳の味も知らない。それでも毎回お腹が空いた時に抱くと、私の乳首を探して吸い付こうとする姿に、申し訳ないと思う私。
「ごめんね、おっぱいは出ないのよ。」
母乳を与えない事で、肌と肌の触れ合う機会も圧倒的に少なくなるので、いつも側に居て、出来る限り抱いてあげる様にしている。


最近ようやく目を良く開く様になったが、まだとても眩しそうにしている。モノはあまり見えていないようで、何か見せても強い反応はない。それでも数日前まで眼球が上に上がったり妙な動きをしていたのが、今はちゃんと何かを見ようとしているようだ。
視力はまだだが、聞いていた通り音には私や夫の声は分かっているように感じる。


子育ては楽しい。体験した誰もが言う様に、寝不足で辛いけれど楽しい。こんなに楽しく思うなんて、自分でも驚きなのだが、“娘”の世話をしている時、とても幸せを感じる。長い長い間この時を待っていたから、余計そう思うのだろうか。もともと嫌いだった赤ちゃんの泣き声すら、この子のは気にならないし、可愛いとさえ思う。
私にも母性があったんだな、と実感する日々。

ただし、まだ“自分の子”を育てているという感覚や、絶対的な子供への愛情、強い絆というものが感じられない。そのことが少々不安ではあるが、実際に産んだお母さんでもすぐにはそのような感情を持てないと聞くし、絶対的な愛情の確立に、最初の1年の半分の期間を要するという話もあるので、養子であるこの子への現在の私の感情は、少なくとも自然な状態なのかもしれない。


その後産みの母からの連絡は無い。
彼女は何かが吹っ切れたのだろう。あの面会の後、ソーシャルワーカーが撮影した彼女の顔写真は、これまで会った中で最も美しく、もう後ろは振り返らずに前を向いて生きて行こうという決意と、妊娠・出産、別離を通して成長し大人の女性となった顔だった。カメラに向かって微笑む彼女は、2ヶ月前に初めて会った時とは全然違う、何かとても感動的な姿だった。


養子縁組取り消し失効まで、あと2日半。

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