魔の10日、始まる

今、私の隣で生後5日目になる“娘”がすやすやと気持ち良さそうに眠っている。


7月12日、弁護士による正式な養子縁組手続きが開始された。
手続きとは、病院での産みの両親による同意書への署名から始まる。

自分の子供を自分たちが選んだ養父母に養子に出す、という事を自分の意思で同意する、という内容と共に、これから始まる10日間の猶予期間を理解し、裁判所での正式決定までの6ヶ月間共同保護者になる、という内容。この書類は、産みの親のみが署名するもので、弁護士と産みの親意外の人物は同席出来ない中で行われる。


12日午前10時、病院のスタッフと病院専属のソーシャル・ワーカー、そして私たちのエージェンシーのソーシャル・ワーカーが、弁護士の到着前にすべてスムーズに行く様に慌ただしく準備する中、私たちは待合室にて待機。
待つ事2時間、私たちには会いたくない、という産みの毋とは面会は無かったが、我が子とこれで別れなければならない彼女がかなり苦しんでいる、ということだけ、ソーシャルワーカーから伝えられた。そして産みの親が病院を出た後、看護婦が私たちを迎えに来た。
病室では、ソーシャル・ワーカーが赤ちゃんを抱いて私たちを迎えてくれた。赤ちゃんを病室に一人取り残さないで欲しい、という産みの母の強い希望だった。
「おめでとう。お父さん、お母さん。」赤ちゃんを手渡され、家族3人での初記念撮影。
看護婦による簡単なベビー・ケアの説明を受け、カーシートに乗せ病院を出た。
「さあ、新しいお家に帰るよ。」


言葉には言い表せない感動。
自分の子供を産みたいと希望してから10年、やっと新しい家族を迎えることが出来た。
でも、まだ家族と親しい友人にしかこの喜びを伝えていない。
なぜなら、13日の0時から始まった養子縁組取り消し猶予期間である”魔の10日”が過ぎるまでは、確実にこの子が私たちの娘となる保証がないからだ。確率は高いけれど、ダメになった時の落胆を最小限に抑えるために、100%の祝福はまだしないことにしている。


1日目は無事に過ぎた。今日は”魔の10日”2日目。
23日午前0時の時効まで、あと8日と半日。

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