アルコール摂取と許容範囲

国内養子縁組申込書の中に、産みの母のアルコール摂取頻度をどの程度受け入れられるかチェックする項目があった。

妊娠中のアルコールは、現在はたまに飲むいっぱいのワイン程度なら安全とされているが、やはり過度な飲酒による胎児性アルコール症候群はとても気がかりなことの一つ。
養父母には、このアルコール摂取頻度を選ぶ権利がある。
4段階に別れていて、『全く飲まない』、『最小限の摂取』、『中程度』、『頻繁』となっている。

理想は『全く飲まない』だが、ここに丸をつけてしまうと、極端に子供を迎える確率が減ってしまうようだ。
産みの母は我々と同じように健康状態、生活習慣、家族、バックグラウンドなどの様々な質問に答えなくてはならず、ドラッグ、アルコールに関してはかなり厳しく、一杯のワインであろうと正直に伝えるように義務づけられている。
妊娠に気がつくまで飲んでいた、とかクリスマスなどのお祝いでワインを一杯飲んだ、というのは『最小限の摂取』に入り、『全く飲まない』人は相当少なくなってしまう。


私の夫も夫の兄弟たちも、母は喫煙飲酒をしていた。
60年代だったから尚更。喫煙や飲酒が妊娠に悪影響だなどと、誰も考えていなかった時代。
夫にはうっすらとその影響が伺えるが、ちゃんとした仕事につき、優しく活動的で、通常社会生活を送るには全く問題のない程度。
なので、最小限ならば受け入れられる範疇だろう、というのが私たちの合意。


とにかく出来るだけ早く子供を迎えたい、と言う人は『中程度』や、『頻繁』に丸を付けると、マッチング開始1、2ヶ月で養子縁組という早いケースも可能。ただし胎児性アルコール症候群の確率がかなり上がる。が、中程度に飲酒していても子供には何も影響が無い場合もある。
こればかりは産まれてみないと分からない為、ギャンブルみたいなもの。
この間のワークショップに体験談を話に来てくれた養父母の場合がこれに当たる。アルコール依存症の母から産まれた養女は、全くもって健康そのものだそうだ。


命を落とす程ではないけれど重度の胎児性アルコール症候群の子は、育てるのがかなり大変なため、養父母になってくれる人は殆どいなくて、ずっと施設で過ごす確率が高い。
私ももし自分が妊娠したら、自分の子供は胎児性アルコール症候群には絶対にならないという自身があるため、自ら胎児性アルコール症候群の子供を養子にしたいとは思わない。
可哀想だとは思うのだけれど、自分の子だったらあり得ないという時点で、育てていく自身や強さがないためどうしてもダメ。

こんな私に出来ることは、妊娠中なのにタバコやアルコールが止められないお母さんへ、産まれて来る子の為にも頑張って依存を断ち切って下さい、ということくらいだ。

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