待っている子供たち

カナダ国内での養子縁組は、0歳からを希望すると、通常病院で受け渡しの新生児となる。
これにはかなり驚いたのだが、ちゃんと理由があって、産みの親が病院を出たら赤ちゃんを育てられないという事実はもちろんのこと、子供の事を一番に考えての方法だからだ。
子供は産まれてから親との未接触が長ければ長い程、のちに様々な障害となって現れる可能性が高くなる。健全な脳の発育のためには、とにかく産まれて目が開く前にきちんと肌と肌の触れ合い、母親となる人物との接触が重要なのだと聞いた。
なので妊娠中から養父母を捜し、産まれたら即受け渡しとなる。

産まれた日に受け渡しにならなかった赤ちゃんには、なんらかの健康上の問題があることがほとんどで、健康でない赤ちゃんを望まない養父母の元へは行かずに、養護施設や里親の元へ送られる。
赤ちゃんは産まれた時に、養子に出されるか施設に送られるか振り分けられるのだ。

養護施設では0歳からティーンまでの子がいて、体や脳、精神に生まれつき何らかの障害がある子、親から虐待を受けて来た子、親が亡くなり身寄りの無い子などが、養父母が現れるのを待っている。
時々、年齢の上の子を希望する養父母もおり、施設から出て幸せをつかむ子もいるが、施設に送られた子の家族になってくれる人は悲しい事にやはり少ない。
施設に長く居れば居る程、家族との触れ合いがないトラウマが長引き、育てるのは難しくなっていくから、すでに子育て経験のある夫婦が希望することが多い。

これらの『待っている子供たち』を養子に迎える場合、養子縁組にかかる費用は全て無料、政府から月に1000ドル程の補助、医療やカウンセリングなどのケアにかかる必要経費を生涯にかけて援助してくれるのだそうだ。
それだけ、待っている子を養子に迎えようと言うボランティア精神旺盛な養父母は少ないということ。


どんな親も自分の子供が五体満足健康で産まれてくれる事を望むように、養父母も家族に迎えるなら健康な子を望む。
『待っている子供たち』を可哀想だし、気の毒に思う。
しかしどうしても聖人になる事が出来ない私たちも、やはり多くの夫婦と同様に、健康な赤ちゃんを望んでいる。


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