従姉妹への告白

従姉妹は今朝次の目的地へ旅立って行った。

彼女が到着以来、養子縁組の話をしようしようと思いつつ、話し出すきっかけが見つからないまま、旅立つ当日になってしまった。
私の母が、妹である彼女の母に話をしているかもしれない。でも何も言わないのは、遠慮しているのかもしれない。ずっとそう思いつつ、毎日が過ぎ去って行った。
知っていても知らなくても、どう切り出して良いのか分からないまま時が過ぎて行く。なんとなく焦る私。
このまま言わないでおこうか？そう思ったりもした。

そして、彼女が発つ朝、お茶を飲みながら思い切って切り出してみた。
従姉妹の反応は、少しだけ驚いたようだったけれど、以外とあっさりしていた。どう受け答えたらよいのか、分からないだけだったのかもしれない。これまで不妊について話した事もないし、あまりにも突然で面食らったようだった。
『カナダは日本と違って養子縁組もオープンなようだから、良いんじゃないか』というような事を言われた。
母は、まだ親族の誰にも話していないようだった。

結果的には、言っても言わなくても良かったような気もする。
特別何か言って欲しいわけではない。ただ、普通に受け止めてくれれば良い。私にとって告白は、『妊娠したの』と言っているような感覚。彼女が否定的でもなく、かなりあっさりと受け止めてくれたのは良かったけれど、やはり『おめでとう』とは言われなかった。
はたして、『養子縁組』に対して『おめでとう』と言ってくれる日本人はいるのだろうか。親でさえ、まだその一言を言ってくれてはいない。